不安がその人の土台をなしている

ある奥さんは夫が自分の返事の仕方一つで、ものすごく怒りだすという。
しかもその怒りがなかなか治まらない。

どうしてそんな些細なことでそこまで激怒するのか、
まったく分からないという。

夫は妻との結びつきに自信がない。
夫は、心の中で安定した関係を妻との間に築けていない。

妻の返事の仕方一つで、夫は妻との関係が不安になる。
その不安に対して夫は敵意ある攻撃性で反応する。

夫は激怒したところで不安が治まるわけではない。
そこでいつまでもしつこく妻を責め続けるのである。

夫にしてみれば、妻を責めても責めても不安が消えない。
責めることが本質的には心の葛藤の解決になっていないからである。

夫が欲しいのは、自分が他者と結びついているという確信である。
夫は安心したい。夫は妻から、いま以上の関心が欲しい。

もちろん妻からすれば十分に関心を払っている。
問題は夫が他者からの関心を感じることができないということである。

夫は小さい頃から他者から真の関心を持たれたことがなかったのだろう。
だから大人になって他者から関心を持たれても、それに自信がもてないのである。

そこでいつも不安になり、その不安に対する反応として敵意ある攻撃をする。
問題は、近い人の些細な言動が彼の不安を刺激するということである。

人は不安を回避する一つの方法として、敵意と攻撃という反応がある。
そのことを知らないと、近い人は、その不安な人の示す激しい怒りを
理解できない。