いつでも自分の話を聞いてもらいたい

心理的に健康な人が神経症者と結婚することもある。
神経症者は優越しなければ幸せになれないと信じている。

しかし心理的に健康な人にとっては幸せになるために
優越しなければならない理由は何もない。

心理的に健康な人にとっては今のままでも自分達のまわりに
幸せはいっぱいある。

例えば子供がすくすくと育っている。
心理的に健康な人にとってはそれだけで十分幸せである。

しかしそのような環境にあっても、優越しなければならない
神経症者である夫は不幸である。

夫は人々に優越できないので悩んでいる。
神経症的な夫は、妻が幸せな環境でも、まだ優越しなければならない
という強迫性に苦しめられている。

心理的に健康な奥さんから見ると、なぜ夫はこんな幸せな人生で
イライラと悩んでいるか理解できない。

そこで二人はうまくいかなくなる。
子育てについても二人は同じ気持ちになれない。

神経症的な夫のしてみれば、今欲しいのは奥さんからの特別な賞賛である。
奥さんからいつも「会社のお仕事、大変ねー」
「あなたってすごく有能なのねー」と言われていないと気持ちがもたない。

家庭の中で自分が中心でないと面白くない。
彼は自分の社会的役割の重要さを奥さんに認めてもらいたい。

心理的に幼稚な夫はあまりかわまれると煩わしく感じるくせに、
かまわれないと不満になる。

このように神経症的な夫にしてみれば、子供のことよりも
自分が他人に優越することのほうに関心がある。

会社で出世することのほうに関心がある。
そこで子供に対して奥さんと感情的にズレができている。

奥さんは夫と同じ気持ちで子供を育てたい。
ところが夫は子供のことよりも自分の成功、失敗のほうに関心がある。

子供の話題よりも自分の仕事の苦労話を聞いてもらいたい。
自分の仕事の自慢話をしたい。

神経症的な人にとっては人とうまくやることだけでも手に余る仕事である。
しかし結婚すると相手とうまくやるだけでなく、二人で課題を
背負いながらうまくやらなければならない。

神経症者には親になる資格がないということは、
課題を背負いながら二人の関係を維持する能力がないということである。