妬む人は何もしないでただ妬んでいる
人の陰口を言っているだけで、自分からは何も積極的にしない人がいる。
あるいは他人のすることを妬んで、足を引っ張るようなことばかりする人がいる。
しかし陰口を言ったり妬んだりしているその人だって、やろうと思えば
色々なことができる。けれでもそれをしない。
第三者から見ると、そんな陰口を言っているくらいなら、自分でも
積極的に事をはじめればよいのにと思う。
そして本人も、自分の心の中の恐怖感ということを別にすれば、
それに挑戦することは充分可能であることは知っている。
それができないのは、現在の自分が変わることが怖いからである。
今の自分と違った自分になれば、幸せになれるということは分かっている。
しかしそれが怖い。
他人が幸せな恋をしていると、その人を妬む。
そんなに妬むくらいなら自分でも恋人を探せばいいのにと思うのだが、
妬んでいる人は、恋人を探しもしないで、やはりただ妬んでいる。
妬んでジメジメした暗い生活のほうを選択する。
自分が変わることを恐れている人は、変わった後の自分の人生の
暗い面ばかりを考えるのである。
もちろん変われば変わったで、今までより大変なこともあるだろう。
しかし変われば変わったで、今までにない喜びもあるだろう。
しかし神経症者というのは暗い面、暗い面ばかりに自分の注意を持っていく。
好きな人ができても、好きな人と一緒にいる楽しい時のことを考えないで
一緒にいられない辛い時のことにばかり注意を持っていく。
おおかたの現実の生活は良いことばかりではないし、悪いことばかりでもない。
人は天国と地獄を分けて考えるが、現実の生活を考えるとそうなってはいない。
天国の生活と地獄の生活という全く違った生活というのがあるのではない。
それは想像の世界や、宗教の世界の話である。
人が現実に社会の中でしている生活は、ある面を見れば天国だし、別の面を
見れば地獄だということではないだろうか。
この世の中では完全に天国だけの生活をするわけにはなかなかいかない。