なぜ嫌いなことをしようとするのか

ストレスに苦しんでいる人の中には、周囲と価値観がずれている人が多い。
劣等感の強い人と自己実現している人とでは価値観が違う。

そこが劣等感の強い人には理解できていない。
自分の実力以上に認められようとするのではなくても、
自分が嫌なことをしようとすれば、それはストレスになる。

人前で話すのが、ストレスになる人とストレスにならない人がいる。
人前で話すのが好きな人はストレスにならないが、嫌いな人はストレスになる。

子供が嫌いな母親にとっては、子供と遊ぶことはストレスになる。
しかし、子供が好きな母親にとっては、子供と遊ぶことは楽しいことである。

会社に行くことが嫌なビジネスマンにとっては、会社にいくことはストレスになる。
だからストレスに苦しんでいる人の中には、本来の自分がわかっていない人が多い。

普通の人は自分が嫌いとわかっていれば、それを無理してしない。
普通の人はその世界にあえて飛び込んでいかない。

では、人はなぜ自分のできること以上のことをしようとするのだろうか?
あるいは、なぜ自分の嫌いなことをしようとするのか?

もちろん周囲の人から、あなたはすごいと言われたいからである。
賞賛が欲しいことが理由である。つまり劣等感である。

具体的にはそれが有名な会社に入ることだとか、高価な物を手に入れる
ことだとかいうものである。

そしてそれらを手に入れると、劣等感の強い人は得意になる。心の傷が癒される。
しかし本人が得意になっていても、周囲の人は実はたいてい陰で
「あの人に合っていないんじゃないか」とか、「変なことするわねえ」などと
話しているものである。

しかし、自己執着的な苦しさとしてのストレスの強い人には、その声が聞こえない。
つまりストレスの強い人は、たいていしようとすることの目的がずれている。
それは周囲の人に関心がないからである。自己執着が強すぎて周囲が見えないからである。