努力が裏目に出ない人間関係
失敗して傷ついた人は、失敗という体験で傷ついたと思っている。
しかし失敗しても、失敗したこと自体で傷つくことはない。
失敗は単なる失敗である。失敗は中立的な体験である。
失敗した時の、その人の人間関係が問題である。
どのような人間関係の中でその人は失敗したのか?
生まれてから、どのような人間関係の中で生きてきたのか、それが問題である。
失敗して傷ついた人も、もし違った人間関係の中で失敗していれば、
同じ失敗は違ったものとして受け取られているはずである。
離婚でもリストラでも、もし違った人間関係の中で体験していれば、
それは全く違った体験になる。
一つ一つの事件が心の中で尾を引くのは、その遠い昔の事件が
その人のその時の社会的枠組みの中で起きて、その枠組みにその人が
いまだにとらわれているからである。
もういい加減に忘れてもいいのではないか、と周りの人は思う。
しかし忘れられない。その事件がその人の今の感情、不愉快だとか
不満だとかいう感情にまで影響力を持ってしまう。
成長期のある時に、家族に助けを求めた。断られた。それは単に断られたということではない。
家族という社会的枠組みに対する、信頼感の喪失である。
今、心底消耗している人は、現実の失敗に消耗しているのではなく、
ありのままの自分を受け入れてくれない人に、気に入られようと努力して消耗しているのである。
ありのままの自分を受け入れてくれない人との関係を切って、
自分にとって望ましい人間関係をつくり、適切な目標を持って頑張っていれば消耗しない。
今の自分の不幸の原因を正しく理解しない限り、幸せにはなれない。
努力しても努力の成果は裏目に出る。