相手と心理的に距離を置く

何かを気にして悩んでいると、よく「気にしない、気にしない」と
言う人がいる。「気にしない」と言われて、気にしないように
心がけてもどうしても気になってしまうこともある。

人とのゴタゴタを気にするか、気にしないかということは、
その人の自我が確立されているか、確立されていないかにもよる。

どこでどうしても「気になってしょうがない」というときには、
それは「自分はまだ十分な自我の確立がなされていない」という
メッセージと受け止めることである。

「気にしない」と「自我の未確立」という関係に似ていることだが、
ときに人は、ある感情にとらわれてしまうことがある。
例えば、憎しみの感情にとらわれてしまうことがある。

自分が憎しみの感情を持つのではなく、自分が憎しみの感情に
支配されてしまう。よく酒を飲むのではなく、酒に飲まれると
いうが、それと同じである。

そういうときに、「これは自分に何を教えているか」と考えることである。
そういうときも、やはり自我の確立がなされていないという
メッセージと受け止めた方が良い。

憎しみを持つのではなく、憎しみの感情に支配されるとは、
憎しみの感情に圧倒されて、自分を見失うことである。

「気にしない」ということにしろ「憎しみの感情にとらわれてしまう」
ことにしろ、対象と心理的に距離がとれないのである。
心理的に距離を置くためには、どうしても自我の確立が十分でなければならない。