「あなたのおかげです」

相手に感謝すると自分の価値が下がるような気がして、
感謝の意を示さない人がいる。

逆に相手に迷惑を被っているということを強調しようとする人もいる。
自分がこんなにうまく物事を運べたのは「あなたのおかげです」と、
どうしても言えない。

逆に「あんなことをしてくれたので、ひどく迷惑した」と言いたがる。
自分に自信がないから、成功の原因をすべて自分の能力のせいにして
おかないと気がすまないのである。

自分が相手から好かれている、尊敬されているということに自信がない。
そこで相手に負担を感じさせようとする。

自分に自信があれば、相手のおかげで成功したといっても、何の不安もない。
自分の力や重要性を強調しなくても、相手から見捨てられる不安がなければ、
そんなことは誇示しない。

自分の価値に自信がないから、成功に対して相手の功績を否定しなければ
ならないのである。自分の成功に相手が貢献したということを認めて
しまうことは、自分の貢献度を減少させてしまう。

自分の価値に自信がない人は、自分の能力で、それだけで成功を
獲得したといいたいのである。

「あなたのおかげで好運をつかめました」言えば、それがどれほど
相手を喜ばそうともそれが言えない。

それが素直に言えて、感謝できる人は、相手にとって
自分が価値ある存在であることに自信がある人である。

そして、そのように言うことで、ますます相手の協力を得られるようになる。
つまり、自信のある人がますます周囲の人の協力を得られるように
なるのに対して、自己無価値観に悩まされる人は、ますます周囲の人の
協力を遠ざけてしまう。