自分が惨めでなければいられない
夫の暴力や女癖の悪さに悩んでいる女性がいる。
彼女自身は真面目で努力家である。長年にわたって虐げられている。
夫を憎みつつ別れることができない。
真面目だけれども弱い人である。
まわりの人との関係では「言われっぱなし」「やられっぱなし」という人がいる。
大人になっても、いじめられっ子のような人である。
そこまで痛めつけられればエネルギーがなくなる。
エネルギーがなくなるから、敵意を抑圧する。
敵意を抑圧すると、いよいよ言われっぱなし、やられっぱなしになる。
そこでさらにエネルギーがなくなるという悪循環に陥る。
「言われっぱなし」「やられっぱなし」という人は、今の自分を守るために生きている。
今の自分を守ることにエネルギーを消費している。
彼らは周囲に対する信頼感がないから、自分を守ることにエネルギーを使う。
自信がないから、何だか分からないけど、何かから自分を守ろうとする。
こうなってくると、いじめられているのにいじめられているということにすら
気がつかなくなる。
こうした弱い人間の問題は、幼い頃「あなたが、一番好きなものはこれだ」と
誰かから教えられていることである。
そして教えられた通り、自分は「これが一番好きだ」と思い込んでいる。
真面目だけれども弱い人は「あなたはこれが好きよ」と母親に言われると、
それを「好きだ」と思ってしまう。
そう思っているけれども、実は心の底ではそれを好きではない。
人からやられっぱなしで戦えない人は、自分が好きだと思っているものが、
本当に好きではないから戦えないのだということに気がつくことである。
それに気がつけば強くなれる。