訳もなく夫といることが不愉快になる

自分が自分を信頼していれば対立を恐れたり、相手から嫌われることを
恐れて気の進まないまま相手のいいなりになってしまうということはない。

だからこそ、そこには真の親密さが生まれる。
自分の望みや意見を述べながら、相手とケンカしつつ生活している夫婦には真の親密さがある。
自分が折れることで争いを避ける人は、自分も相手も不愉快にしてしまっている。

自分の心に面白くないという感情を残すということは、
相手との間に不快な緊張を生じさせるということなのである。

その不快な緊張が次第に高まって息苦しくなるまでに達する。
結婚生活であろうと何であろうと、相手に気に入られることで人生の問題は解決しない。

相手に気に入られても日常生活における脅えはなくならない。
神経症の人は相手に従順を強制して相手を滅ぼす。

つまり神経症の夫と、自分の意見が言えない奥さんと一緒になったらどうなるか。
奥さんは滅ぼされる。

夫が神経症であるなら奥さんは決して折れてはならない。
折れることでお互いに食い違いを解決しようとするなら奥さんが滅ぼされる。

次第に無気力になり、人生に対して投げやりになる。
すべてがどうでもよくなる。全てに関心を失う。生きる気力を失う。

そうなる前に夫と別れることである。

ケンカが大切だということは、充実した夫婦関係を維持するために大切だということだけではない。

一刻も早く別れたほうがいい人々を、早く別れさせるということである。
離婚を恐れていては、結婚生活で次々に未解決な問題を残すことになる。
次々に不愉快な感情を心の底に残して生きていかなければならない、ということである。

そうすると最後には訳もなく相手と一緒にいることが不愉快になったりする。
相手のどこが悪いというのではないが、相手といることが不愉快になる。

拒否への脅えと相手に対する要求の過大さとが結びついているということを
理解しないと、未熟なパーソナリティーを正しく理解できない。