自分に決して能力がないわけではない

神経質を治すためには、何よりも大切なのは行動することである。
何かをやろうか、止めようかと悩んだら、必ずやること。

何でもいいから行動か中止かと悩んだ時、とにかく行動すること。
じっと考えていてはいよいよ行動神経質になり、心配ばかりしていることになる。

憂うつと戦うのに大切なことは、バカらしく思えても、そのことをやり続けることである。
こんなことしていて何になるのだろうと思っても、そのことを中途で止めないことである。

止めることなく続けていれば、やがてまた元気は回復してくる。
あるサラリ-マンが、ふと気持ちが沈んだ時、会社を辞めてしまった。

彼の言葉によれば、地下鉄の駅の階段をおりている時、ストーンと
気持ちが落ちてしまったというのである。

幸い奥さんが賢明な人だったので彼女が働きながら生計を立てている。
そして彼の方は、今まで何回かそういう気の沈みが思いがけずやってきたことがあるという。

そして彼は「俺は病気なんだ」と病気に逃げてしまっている。
このような自己弁護の言い訳をする人は多い。

しかしこのように自己弁護の言い訳をする人は、一体言い訳によって
何を弁護しようとしているのであろうか?

実は、そのように何事も言い訳しようという心構えが、
つもりつもって現在のような抑うつ的な人間になってしまったのである。

今までだって言い訳をして何かいいことがあったかといえば、何もいいことはなかったに違いない。

病気に逃げ、病気のふりをすることによって回復はいよいよ難しくなる。
自分の能力を発揮する機会は、今までにもいくらでもあったに違いない。

しかしその機会に失敗することを恐れて、他人の眼を意識して、
自分を実際の自分以上にみせようとして、とにかく何かを恐れて、その機会を見逃したのである。

そして弁護したのは何か。偽りの自分のイメージだったのである。
本当の現実の自分を隠し、偽りの自分の姿を守ろうとした、それが今までではなかったか。

そのような行動の選択の結果として、今のように気の沈みがちな人間に、
気持ちのすさんだ人間に、気持ちの不安定な人間になってしまったのではないだろうか。