大人のナルシストや神経症者は、一生反抗期みたいなものである

反抗期は自我拡張期ととらえられるが、反抗期はナルシシズムと関係があるだろう。
自分が自分の期待するほど成功できないということは、ある年齢になってくると分かってくる。

そこで、周囲に反抗を始める。傷ついた怒りを周囲に向け始める。それが反抗期である。
反抗期とは、ある面では傷ついたナルシシズムの怒りの時期なのである。
また傷ついた神経症的自尊心の怒りの時期なのである。

たしかに反抗期には自我拡張期という面がある。
しかし、ある時期に暴れるのは神経症的自尊心やナルシシズムが傷ついているからである。

反抗期を親との関係だけに目を向けて解釈するのは間違いである。
ここで自分が本当に好きなものを見つけられた人は反抗期を抜け出せる。
しかし、本当に好きなものが見つけられない人は、なかなか反抗期を抜け出せない。

自分の好きなことが分かるということが、自分が外界と関与したと
いうことである。神経症者やナルシストにはそれがない。

何をするとなっても、人に見せるものしかない。
人に「どうだ、すごいだろ」と見せるものしかない。自分の好きなものがない。

そうした意味で神経症者やナルシストは外界に関与していない。
だから大人のナルシストや神経症者は、一生反抗期みたいなものである。

神経症者やナルシストは外界に関与していないから、失敗をして
自己陶酔できなくなると生きていけなくなる。

外界と関与していれば、別に失敗は一つの経験である。
彼らは、自分たちを完全な人間と思ってもらいたい。

彼らが想像する完全な人間とは、頭脳、容姿、職歴、学歴、家柄、体力など、
全てが素晴らしい人間である。

こんな人間はいないから、彼らは、自分が完全な人間になるために
欠けているものに執着する。するとどうなるか。自分をますます嫌いになる。