守ろうとするよりも、守ってもらおうとする

母親との関係で愛情欲求が満たされないまま大人になった男性が恋をしたとする。
彼は恋人に求めることのできることだけを恋人に求めるだろうか。決してそうではあるまい。
むしろ彼は恋人に求めるべきことを求めるよりも、母親に求めるべきことを恋人に求めるだろう。

彼は恋人を守ろうとするよりも、守ってもらおうとする。
彼は母親との関係で必要な保護をされていなかったのである。

それを今恋人で満たそうとする。彼は恋人にわがままを言う。
しかし恋人のわがままは絶対に許さない。

彼は母親との関係で甘えることができなかったのである。
だから恋人に甘えることで母親で満たされなかった甘えを満たそうとする。

彼は恋人を幸せにするために色々努力することはしない。
しかし何から何まで恋人に求め、何でもかんでも恋人にしてもらおうとする。

それにもかかわらず彼は、自分が恋人に求めることが本来おかしいことまで
恋人に求めているとは思っていない。

そしてそれが満たされなければ、冷たいとすねる。
男性の場合、母親への愛情欲求が満たされないまま育った人は、
恋人を愛することは大変難しい。

母親への愛情欲求が不満な男性は、また母親から心理的にはなかなか離れられない。
つまり冷たいのは母親で、温かいのは恋人なのに、恋人を冷たいと非難する。

非難するばかりでなく本気でそう思っていることが多い。
自分の今の心の中の欲求は、本来母親との関係で満たされるべきものであったが、
たまたま不幸な母子関係のために、今それを恋人に求めている、というような自覚のある男性もいる。

このような男性と恋した女性は、まだ救われる。
母親に捨てられた、などという場合にはハッキリしているが、
むしろ過保護で育った男性はこの自覚がない。