神経症者は相手を愛しているのではない

寂しい者が恋に落ちたとき、孤独が癒されることと性的欲求不満が
解消されることで、相手を好きと錯覚する。

相手が素晴らしいから素晴らしいと思うのではなく、自分の劣等感と
孤独感こそが相手を素晴らしいと思わせているのである。

劣等感を癒すための恋。それは恋する気持ちからの恋ではない。
不美人という劣等感から、イケメンに恋をする。

恋の虜になった原因は劣等感。
なぜ恋をするのか?それは劣等感が癒されるため。

何かのための恋はすぐに熱が冷める。一目惚れの恋のスピードは
同時に恋が冷めるスピードでもある。

一目惚れは自我が不安定ということを表している。
意識と無意識の乖離が深刻であるということを表している。

一般的に言えば、熱しやすくて冷めやすい人は自我が不安定な人である。
人は人生をより豊かに、より幸せにするために愛を求める。
しかし神経症者は違う理由から愛を求める。

依存心が強くて劣等感の激しい人は、人が自分のことをどう思うかを異常に気にする。
相手からバカにされるのではないか、嫌われるのではないか等ということを心配する。

それらは単なる自己執着である。そしてそういう自己執着的努力は
悩みを解決するのではなく、さらに悩みを作るだけである。

神経症者は相手を愛しているのではなく、単に自分の心の葛藤を
解決するために、相手とかかわっているのに、相手を愛していると錯覚する。

自分の執着の凄まじさを愛の強さと錯覚する。