実りのない喧嘩、実りのある喧嘩
心に傷を持つ御主人は、奥さんの何気ない言葉で不愉快になったり、
突然怒り出したりする。
もちろんそれは奥さんが悪いのではなく、御主人の心にある傷のせいである。
「傷口に塩を塗る」という言葉がある。
皮膚の傷をしているところに塩を塗れば、当然痛くて飛び上がるだろう。
けれども傷口以外のところに塗れば痛くはない。
心も同じである。
心に傷のある人は、相手の言葉や態度に痛みを感じて激怒したり、
絶望したりする。
その同じ言葉や態度は、心に傷を持たない人には何の心理的影響も与えない。
心の傷を自分にも奥さんにも隠そうとしている御主人は、隠していた
心の傷が現実と接触してうずき、言葉や態度が極端になる。
心の傷で反応する御主人は、奥さんのちょっとした言葉や態度で、
もう結婚生活が破滅するようなことを言い出す。
また奥さんのちょっとした欠点にオーバーに絶望する。
御主人の自尊心を脅かす奥さんは、御主人から憎まれる。
奥さんの自尊心を脅かす御主人は、奥さんから憎まれる。
互いに何が相手の自尊心を脅かすかが分かっていないことが多い。
何が相手にとって辛いことか、理解できていないのである。
そこを理解するのが、結婚生活を続ける一つの秘訣である。
人は一般に傷ついて怒ると、関係のないことまで怒りの原因に
仕立て上げるものである。
何でもかんでも相手のことを非難するようになる。
相手の全てを非難の対象にしてしまうものである。
これは全く実りのない喧嘩である。