素直な形で愛情を求められない
抑圧とは、自分に対して心を閉ざすことである。したがって他人に対しても心を閉ざしてしまう。
しかしそうした人は、誰よりも心の触れあいを求めている。自殺する人がそうである。
ある心理学の本に、十代の自殺について次のように述べられていた。
自殺する十代の人達は、普通の十代の人達よりも、孤独であるが愛情を必要としている。
つまり彼らは、普通の人よりも親しい人間関係がないが、普通の人よりも
親しい人間関係を求めているということである。
心に問題を抱えていればいるほど、優しさが欲しい。
しかし心に問題を抱えていればいるほど、優しい人までも退けてしまう。
愛着人物に対して敵意を抱くことで、愛着人物に心を閉ざす。
自分一人の世界に閉じこもる人も出てくる。この傾向は大人になっても続いていく。
そして愛することができない人間、心を開くことのない人間になっていく。
まさに心のふれあいを失った人間になる。
人が「もう私はどうにもできない、これ以上生きてはいけない」と
感じるほど追いつめられるのは、愛着人物に敵意を持つからである。
嫌いな人に敵意を持ってもどうということはない。
八方塞がりになるのは、愛着人物に素直な感情を持てなくなるからである。
家庭内暴力も同じことである。家庭内暴力についてはよく
いつまでもしつこく、くどくど責め苛むし、母親を寝かせようとしない、と
いうような説明がなされる。
それはこのように責めることの裏で愛情を求めているからである。
子供は母親を必要としているのである。しかし素直な形で愛情を求められない。