相手を見ていない
子供の気持ちをくみ取るということは、子供のすることに反応してあげることでもある。
「いない、いない、バー」と言って赤ん坊が笑わなかったら、言ったほうは恥ずかしくなる。
大人は、もう一度しようとしない。これと同じことである。
親は肩を揉んでもらって、黙っているのと、「あー、気持ちいい」と
言う親とでは、子供がまた肩を叩いてあげようと思うのはどちらであろうか。
「あー、気持ちいい」で、子供はまた親の肩を揉んでやろうと思う。
無反応は、意欲を失わせる。
子供の動機を考えない母親は、激励の時期も間違える。
子供が集中してやっている時には、激励をする必要がない。
お節介な母親は、子供が集中している時に、激励してうるさがられる。
相手を見ていない。
集中している時には、ほっておく。
あくびを始めたらお茶を入れてあげて、「頑張っているわねー」と言えばいい。
その激励のタイミングを間違える。
激励は勉強が終わった後。やっている途中はいけない。
人は同じように煙草を吸っていても、動機が違う。
高校生の煙草は大人への反発から。大人の煙草はストレスから。
キャリアウーマンの煙草は仕事ができるフリをしたいから。
ホームレスの煙草はやすらぎが欲しいから。
だから、それをやめさせるには、
その動機に応じて対策をとらなければ無理であろう。
動機を正しく理解することは、他人を正しく理解することであり、
コミュニケーションの第一歩である。
人は神経症的になればなるほど、人の行動や口先を見て、動機を見ない。
逆に言えば、その人が心理的に健康な人かどうかの一つの目印は、
その人が相手に接する時に動機を見ているかどうかである。