心の底で周囲の人を責めている

この憎しみの感情を晴らしたい

いつも辛い、辛いと言っている人がいる。
何か良いことがあってもどうしても幸せと認められない人がいる。

それはもちろん不幸な過去を背負っているからであるが、
それにはいくつか理由がある。

一つはそこで幸せと思ってしまえば、今まで生きてきた自分の人生が
なくなると思えてしまうからであろう。

「私は幸せ」と思うことで、自分がなくなってしまうような気がするのである。
今、この些細なことで幸せを感じたら、今までの苦しみの意味が
なくなってしまうように感じる。

自分の不幸はそんな簡単なものではないと言いたいのである。

もう一つの理由は、不幸を訴える人は、それによって周囲の人を
責めているからである。

何か良いことがあった。しかし周囲の人から「これであなたも幸せに
なれるでしょう」というような言い方をされると、面白くない。

ここで「私は幸せ」と言ってしまったら、もう周囲の人や自分の人生に
不満を言えなくなってしまうように感じるのである。

自分の不幸を誇示する人は、憎しみがあって人を責めているのである。
もちろん彼らは面と向かって相手を責めることはない。

しかし心の底で周囲の人を責めているのである。
自分の不幸について、周囲の人に責任をとってもらいたいのである。

だから憎しみがある以上、どうしても自分が幸せとは認められない。
うつ病になるような人やノイローゼの人が不幸な状況にしがみつくのは
それによって憎しみを晴らそうとしているからである。

不幸を嘆いている人にも幸せになりたいという気持ちはある。
しかしそれ以上に憎しみの感情が強い。

幸せになったら憎しみは晴らせない。幸せになるよりもまず
この憎しみの感情を晴らしたいのである。