自信のない人ほど安全を求める

「君にまかせるよ」と言いながら、決してまかせてはいない上司がいる。
「まかせる」と言いながら、他人のやっていることを見て、途中で
気に入らないことが必ず出てきて文句を言うタイプである。

自分で判断するのが怖いから「まかせる」と言っているのである。
判断や決断ができなくて逃げているのにすぎない。

決断から逃げる言葉が「まかせるよ」であって、
信頼して「まかせる」と言っているわけではない。

信頼して「まかせる」場合は、途中であまり口出しはしない。
しかし決断できなくて「まかせる」場合は途中で口を出すか、後で必ず文句が出る。

このような上司は、内心では自分の上司としての能力や指導性に自信がない。
それだけに、今自分がもっている上司としての形式的な主導権に普通の上司以上に
固執している。そして、その喪失を普通の上司以上に恐れている。

決断できない人は心に葛藤があり、青年期の課題がいまだ解決されていない人である。
当然自信もない。人生の方向性が決まっていない。
だからどうしていいか分からないのである。

自信のある人は新しい仕事に挑戦していく。
「まかせる」を連発する人を見ていれば、新しい分野に進出するなどということは
自分から決してできない人であることが分かる。

自信のない人の大切にするものは安全である。何よりも安全でありたい。
しかし、すべてのことにおいて安全であり得るわけがない。
そこでそんな時、他人に責任を押し付けるために「まかせる」のである。

自信のない人は安全を求め、どうしても能動的になり、精神的活動も停滞し不活発である。
自信と不活発とは両立しない。

自信のある人はどうしても何かに挑戦してみたくなるのである。
また自分の責任において仕事をやってみたくなる。
自信のない人は、自分の優越を誇示することをやりたがる。

会社において冷静に判断すべきかは、この人は自分の責任において仕事をやりたがっているか、
それとも自分の優越を誇示したくて仕事をやりたがっているか、である。

自分の優越を誇示したくてだけで仕事をやっている人は、一見活動的に見えても、
その人の内面は極めて受動的である。

自分の責任において仕事をやりたがる人は決して決断を避けない。
従って自分の決断すべきことまでも、他人に「まかせる」ことなどしないものである。