良い子は親の不機嫌を恐れる

子供が心理的トラブルを抱えるのには、様々な原因がある。
その原因の一つに両親の不和というのがある。

両親は実際には幸せではないのに、幸せなふりをする。
そうした家にいる子供は、親に安心して甘えられない、いつも不安である。

こうした不安に対する子供の反応はその子によって違う。
ある子は五歳児の若者になり、ある子はピーターパン症候群になり、
別の子は良い子になる。

五歳児の若者も、ピーターパン人間も、良い子と同じように孤独だが、従順な子ではない。
五歳児の若者はどちらかというとひきこもり、ピ-ターパン人間は、どちらかというと
友達のいるふりをして騒ぐ。どちらも勤勉ではない。

子供が良い子を演じるのは、一つにはこの不安のためである。
自分が良い子を演じることで、何とか家の崩壊を食い止めようとしているのである。

良い子は、いつ崩壊するかもしれない家庭にあって、自分が悪い子であったら
余計その危険は高まると感じる。

その子が良い子であるのは、悪い子であることによって起きる危険を避けたいからである。
少しでも親を刺激したくない。それが良い子を演じる理由の一つである。

それだけに良い子は親の不機嫌を恐れる。
親の不機嫌は、自分の存在が依拠している家の崩壊の前兆のように感じるからである。
いつも何か悪いことが起きると恐れている。
そして親が不機嫌になる。「やっぱり・・・」と感じるのである。

だから親に機嫌よくしてみらうためなら、良い子はどんな犠牲でも払う。
そしてこのような人は、大人になってからも他人の不機嫌を恐れる。

上司の不機嫌を恐れる。奥さんの不機嫌を恐れる。
彼等は小さい頃から自分を取り巻く世界に対する信頼感をもてないのである。