自分を好きになるために

もともと、自分を自分で嫌いな人などいない。
自分を嫌ったのは決して自分ではない。親なのである。

もっと能力があったら、もっと美人であったらと、
はじめに自分に期待したのは、親なのである。

そして、現実の自分を嫌った親を内面化したから、
その人は自分で自分を嫌いになってしまったのである。

だとすれば、自分を好きになるためには、内面化してしまった親を
自分の中から叩き出すしかない。

内面化した親を叩き出せれば、あまり美しくなくても、
ありのままの自分の顔を素直に受け入れられるようになる。

自分との関係がうまくいく人が、無理することなく他人とうまくいく人なのである。
自分で自分を受け入れられない人は、周囲の人からできないことばかり
要求されてきたのである。

そして、その要求をかなえなければ愛してやらないと脅迫されてきたのである。
自分に不可能なことを要求したのは誰か、そして脅迫したのは誰か。

その人への心理的依存から脱出することができれば、
走るのが遅い自分を受け入れられるし、記憶力の悪い自分に劣等感を持つこともない。

そして、そのような自信を得た時、本来自分に備わっている能力は存分に開花する。
自分にできないことをするように要求され、しかもその要求に応えなければ
拒否すると脅迫された人は、自分の弱点を他人に対して隠す。

誰にでも弱点はある。相手に対して、自分の弱点を隠す必要のない安心感、
そのリラックスがあればこそ、人は活力を得て自由に振舞える。

自分の弱点を隠して、できるだけ良い印象を他人に与えようとしたら
疲れるに決まっている。

そう考えると、何かあるとすぐに緊張してストレスで疲れてしまう人、
人に会うと緊張して自分らしくいられない人、そういう人はまず、
自分が誰かの投射の犠牲になっていないかということを、
真剣に考えてみることである。

そして、その人への心理的依存を克服することである。
その人に心理的に依存している限り、どんな訓練をしても無駄である。