楽しいと思う体験を続ける

何事にも順序がある。
体の病気だって重病の人がいきなり健康になることはない。

心の病だって、治るには治る順序があるだろう。
しかし一気に立ち直る方法を要求する人は多い。

悩みを乗り越えるには、一つでいいから楽しいと思えるもの、
一つでいいから好きなものを探すことである。

一つでいいから美味しいと思うものを食べたという体験をすることである。
飴でもいい。大げさに考えない。ほんのちっぽけなものでいい。

部屋を掃除する、植木の葉を拭いてみる、鏡を磨く。
そんな小さなことでいいから、楽しいなと思うことをしてみることである。

歯を磨いて綺麗になった歯を見て「気持ちいいなー」と思うのでいい。
それを積み重ねるのである。

「気持ちいいなー」という体験を大切にすれば、それは続く。
大切なのは、それを続けることである。

続けるためには、その小さなことをする動機が重要である。
人をアッと言わせようとしていると続かない。

人に見せるために掃除をするからダメなのである。
本当には満足しないし、続かない。

部屋を磨くことで自分の心を磨くと思えるようになれば、満足する。
そうした生活をしていれば、気がついたら悩みの洞穴から抜け出している。

具体的な生活を軽視しているから、悩みの洞穴から抜け出せないのである。
「こんなことしたってどうってことないじゃないか」と言ってはいけない。

一つでもいいから本当の体験をしてみることである。
水を飲んで「美味しい」と感じるのでいい。

今まではおそらく母親が「美味しいでしょー」と言うので、
「美味しいです」と答えていたのではないだろうか。

「こういうのはイヤだなー」というのでもいい。
自分が本当にそう体験するものなら何でもいい。

怖いでも、楽しいでも、美味しいでも、本当の体験を一つ一つ積み重ねることである。
そうしたら何かが違ってくる。