人にいい顔をするのをやめることである

楽しい時に楽しい顔をするのはエネルギーがいらない。
しかし楽しくないのに、楽しい顔をするとエネルギーを消耗する。

抑うつ状態にある人は普通の人よりも、毎日毎日消費するエネルギーが
膨大だったのである。そしてエネルギーがなくなった。

もともとがエネルギーのない人というのではない。
小さい頃から普通の人よりもエネルギーを使いすぎているのである。

しかもそれはすべて人にいい顔をするために使ったエネルギーである。
自己実現のために使ったエネルギーではない。

まず抑うつ状態の人は、自分はもともとエネルギッシュな人であるという
ことを自覚するのである。

だからどんな抑うつ状態であっても、自分はもうダメだと思ってはいけない。
いけないというよりもそれは間違いである。

周囲の元気な人は、抑うつ状態の人のように、無理をして生きていないと
いうことである。無理をして無駄なエネルギーを使ってこなかった。

だから今、元気なのである。

無理をしていい顔をすることで消費するエネルギーはもの凄い。
とにかくそれをやめることが回復への第一歩である。

エネルギーの使い方をあらためる。自己実現にエネルギーを使う。
そのために多少人に迷惑をかけることもある。

それで人からの評価を失ってもそれはしょうがない。
それを覚悟することである。

それを覚悟しないと、もっと辛いことが起きる。
心身ともに倒れるまで消耗する。立ち上がれなくなるまで消耗してしまう。

その時のことを考えれば、今、多少人からの評価を失うことは何でもない。

例は悪いが、飲酒運転をして捕まるほうが身を助けるということが
あるのと同じである。そのまま運転をして人身事故を起こした時のことを
考えれば、飲酒運転で捕まったほうがいい。

人身事故を起こして逃げる人がいる。事故を起こしてしまったら、
起こしてしまったと思って処理する以外にはない。過去は変えられない。

抑うつ状態の人は心理的に言えば既に事故を起こしてしまっているような状態である。
ここでなお引き続き無理をしていい顔をするということは、事故を起こして
逃げるようなものである。

ビジネスマンで言えば、もしかすると今のポストが自分の能力以上の
ものなのかもしれない。

はたから見て羨ましいことをしながらも、自分は一つも楽しくないという時には
心理的には要注意である。