誰からも好かれようとするのは自分にとって重要な人がいないからである
自分にとって何か価値あるのか分かっていない親は、
世間一般の価値基準しかないから、子供に、世間一般の価値基準における、
より高いものを実現することを求める。
その子供も、自分の中に自分は何が好きかというものを持っていないから、
より高いとさせる価値を実現しようと努力する。
世間一般の価値基準は価値基準として認めながらも、自分にとっては
これが大切だ、自分にとってはこの人が価値があるということが
分かっている人は、逆に、どんなに世間一般の価値基準からみて
低くても、ある人々にとっては特別の価値を持っているということが
分かっている。
自分にとってはこれが大切であるというものを持っていない人は、
自分がある特定の人々にとっては特別に重要な人間であると
いうことが分からない。
世間一般の基準からすれば、あの人は高くはないけれど、自分にとっては
あの人が価値ある人と分かっていれば、同時に、自分もまたある人々にとっては
特別の価値ある存在だということが分かる、
だからこそ、自分にとって大切なものは何かが分かっている人は、
歪んだ自己蔑視に陥らないのである。
このことが分かっていないからこそ、自己蔑視に陥った人は、
八方美人になってしまう。
うつ病的な人、神経症的な人が、誰かれの区別なく誰からも好かれようと
するのは、自分にとって大切なもの、重要な人がいないからである。
その結果として、自分はある人にとっては価値あるということが、
どうしても感じとれないのである。
彼等には、世間一般の価値基準と違った価値基準があるなどとは想像できない。
自分の中に、自分の個性的な価値基準ができてくると、自分はすべての人から
世間一般の価値基準で評価されないということも分かってくる。
また、世間一般の価値基準で評価された自分が、全ての人にとっての
自分ではないということも分かってくる。