特別扱いしてくれないのが許せない
自分はただの人ではない、と思うことで自分の心の葛藤を
解決しようとする人がいる。
自分は普通の人ではない、と自分を栄光化することで、自分が
普通の基準で評価されることを避けようとする人がいる。
自己栄光化によって心の葛藤を解決しようとする限り、
他人に対しては神経症的要求が出ざるを得ない。
現実の自分を現実の他人が、それほど注目してくれるわけではない。
それが許せない。
神経症的要求を持つ者は、自分が一市民であり、一社員でしかないと
いうことが許せない。
しかし周囲の人は、その人を一市民、一社員として扱う。
彼等は規則にしたがって規制されることに激怒する。
ある事務所に行く。
係の人が「本日は終了しましたから明日にして下さい」と言う。
すると怒る。
係の人が「並んで下さい」と言う。
すると怒る。
神経症的自尊心の持ち主は規則を嫌うという。
それは、規則は自分を特別な人ではないと知らせるからである。
彼等には、他の人と同じようにということが我慢できない。
上司に対して、自分は一部下にすぎないということが、
神経症的な考えの人には分からない。
だからいつも、上司に不満がある。
このような気持ちで人と接すれば、いつもイライラしたり、傷ついたりする。
そこで、中には社会に接すると自分が傷つくから、社会に接することを
避ける人も出てくる。
またある人は、攻撃的になる。
いずれにしても、このような人は社会的に孤立していく。
神経症的要求は、自己栄光化の中に不可避的に含まれる性質である。