今の自分に満足できない

心理的に健康な人は、自分にできることで満足する。
心理的に健康な人は、自分のできることをしたいと望む。

神経症者は、自分のできないことをしたいと望む。

だから同じことができても、
神経症者はこのぐらいしかできないと不満になり、
心理的に健康な人はこのぐらいしかできなくても仕方ないと満足している。
あるいはこんなにもできたと満足する。

神経症者が思うこのぐらいというのが、実はもの凄いことなのである。
「このぐらい」を「このぐらいしか」と思うか、「こんなにも」と
思うかはその人の判断基準で決まる。

つまり「このこと」を「このぐらいしか」と思う気持ちから、
「こんなにも」と思う気持ちになった時が、自分が自分を受け入れた時である。

こうして日々を満足して生きている人と、不満で生きている人とが分かれる。

神経症者は、自分の能力からして「これくらい」がいいとこだなと、
そのことを受け入れられないのである。

自分はもっとできるべきだと思っている。
もっとできると言ったところで、実際にできないのだから仕方ない。

神経症とは、その仕方ないことを自分に要求するのである。

では何故「これぐらい」と感じて、「こんなにも」と感じないのか。
それは自分が、この今の自分を軽蔑しているからである。

どんなに凄いことをしても、自分が、この今の自分を軽蔑している限り、
「これぐらい」しかできないと感じ、不満になる。