完全な成功を求めるのは愚かである
心に迷いがあると緊張する。心の中に葛藤があるということである。
あれをしようか、やめようかという心の迷いは不安な緊張で人を疲れさす。
あることを始めると別のことをしなければならないように感じ始め、
そのことを始めると前のことが気になりだす。
結局何もしないで迷うだけで、疲れて時間がいたずらに過ぎていく。
どちらも決められないのは、どちらをしても満足できないからである。
またどちらをしても完璧にやろうとするからである。
どちらをしても完璧になど物事はできるものではない。
したがって、あることを始めると、そのことが完璧にできないから、
別のことをしなければと思うのである。
そのことの方なら完璧にできるかもしれないと思うからである。
完璧な状態で完璧にやろうとすれば、迷いは避けられない。
どうも今日は調子が悪いと、その調子の悪いことを受け入れることができて
初めて調子が悪いながらも何とかその仕事ができるのである。
毎日毎日絶好調などということはない。
毎晩毎晩熟睡などということもない。
いつも頭がさえ渡り、体の方は不思議なくらい調子がいいなどというわけがない。
なぜこのような理想像に執着するのであろうか。
それはやはり神経症だからであろう。
あれもやろう、これもやろうと欲張った結果である。
自分の能力をオーバーするようなことをしているから焦るのである。
そして自分の能力をオーバーするようなことをしてしまうのは、
実際の自分に満足していないからである。
実際の自分に怒りがあるからである。