心理的に不安な人は、相手のことを決めつける
ある親は、六歳の子供を連れて有名なレストランに夕食をとりに行った。
そして得意になっていた。子供にものすごいことをしてやったつもりになっていた。
普通の親が決してやれないようなことを、自分は子供にしてやっていると
思い込み、自分は良い親と信じ込んでいた。
心理的に不安な親は、すべてのことにおいてこのように解釈している。
この親には、子供にとってどのような場所が望ましいのか、子供が何を
望んでいるのかということが、全く分からない。
六歳の子供が、有名なレストランに、高価な服を着て食事に行くことなど
望んでいないということが分からない。
小さな子供は、もっと自由にリラックスして食べられる場所を望んでいる。
マナーがうるさく、堅苦しく、大きな声も出せないところより、
普通の所のほうが、子供はよほど好きである。
そもそも有名なレストランは、子供が自由にできるようにはできていないし、
そもそも子供の好きなものなどおいていない。
ハンバーグの好きな子供が、そんな豪華なレストランに行って、
おいしいと思えるものは何があるだろう。
このような親には、大人と子供の好きなものが違うということが
分かっていないのである。
食事が終われば、「お前は他の子供と違って素晴らしい体験をしたんだ」
と子供に言うし、本人も本気でそう思っている。
子供は、このように世間一般の基準をそのまま押しつけられ、心の感じ方まで決めつけられる。
そして、子供は、親から決めつけられたように信じ込む。
自分にとって何が大切か、何が必要かという視点を見失ってしまう。