他人から受け入れられることを望んでいる

うつ病者は、ある年齢に達しても親との間に想像上の一体感をたえず持ちながら
生きている。そもそも親との一体感そのものを経験していない人が多い。
しかし、一体感の希求は本人が意識できなくても無意識にはある。

一体感を求めて恋愛をすれば、恋人に過大な要求を持つ。
その結果、その恋愛はうまくいかない。

大人になっても幼児をあやす母親の役割を恋人に求める。
全てに賛成し、全てを絶賛する母親の役割を恋人に求める。
しかし、現実にはそのような役割を果たせる恋人はまずいない。

そこでその恋人にイライラする。恋人から期待した反応が返ってこないから、いつも傷つく。
そして恋人を憎むようになる。しかし、その憎しみを表現できない。
そこで相手を嫌いになる。嫌いになるけど、淋しいから別れられない。

うつ病者は淋しさと嫌いという矛盾の中で生きている。このジレンマの中で憂鬱になる。
このジレンマの中で生真面目に生きる以外に生きる方法がない。
表面の生真面目な生き方でこの矛盾した感情を抑え込む。

他人から受け入れられることを望んでいる。
それなのに受け入れてくれた人を最後には憎むことになる。