親に気に入られようと迎合し、親に隷属する
子供にとって一番いいのは、親を好きであること。
二番目にいいのは、嫌いであるとき嫌いであると思えること。
最悪は、嫌いであるにもかかわらず、親を恐れて好きであると
思わねばならないことである。
親子未分化の家族の恐ろしさはここにある。
依存心の強い親は家庭一点張りの息づまるような愛を強調する。
それは親自身が愛に飢えているのである。
したがって、そのような神経症的愛を強調する裏に、家庭を自分の
意のままにしようという支配の意図を隠している。
その意図については、親本人も目を背けている。
そのような家庭で子供は、心の底では親が嫌いである。
しかし親が嫌いであるという感情は、意志の力で無意識の領域に追いやられている。
兄弟も嫌いである。しかし兄弟姉妹仲良くというのが依存心の強い親の
命令であるから、その感情も抑圧される。
嫌いという感情がどんなに抑圧されていても、嫌いという感情がある限り、
同一化はうまくいかず、結果として自我の形成もうまくいかない。
ちょっとしたことですぐに混乱してしまう。
電車がちょっと遅れたとか、相手が約束通りにこなかったとか、
何でもないことですぐにカーッとしたり、イライラしてしまう。
いずれにしろ自我の未形成な人は、今からでも自分の好きな人と
付き合うようにすることであろう。
おそらく今までは付き合うべき人と付き合っていたのではないだろうか。
あるいは付き合うと得する人と付き合っていたのではないだろうか。
そして、それらの人を好きにならなければいけないと思っていたのでは
ないだろうか。
自我の脆い人は、まず無意識の領域においても好きである人と付き合うことである。
そのような付き合いを大切にすることである。