不必要に他人に献身する

自分で自分を軽蔑してしまった人は、相手が今自分といることを
楽しんでいる、ということに気がつかない。

自分で自分を軽蔑してしまった人は、他人といると恥ずかしがったり、
恐縮したり、他人を軽蔑することで自分を守ろうとしたり、
いろいろ心のエネルギーを使う。

だから、他人と一緒にいることに疲れるのである。

相手が自分といることを楽しんでいる、という感じ方さえできれば、
恥ずかしがることもないし、恐縮することもない。

いわんや相手の低い自己評価に対して自分を守ろうと身構えることもない。
しかし、自分で自分を軽蔑してしまった人は、どうしても、相手が
自分と一緒にいて楽しいということが想像できない。

もともと自分が自分といて楽しくないのだから、仕方ない。
恥ずかしがりやでない人は、自分一人でいることを好むという。

自分一人でいても楽しいというのは、自分が自分を嫌ってないからである。
恥ずかしがりやの人は、自分一人でいることを好まないが、同時に
他人といることも辛いのである。

自分の自分に対する感じ方が他人を通して現われる、このことを理解すれば
まず何をしたらよいかは自然と分かってくるであろう。

他人に対して、特別何か役に立つことをしてあげない限り、他人は自分に用はない、
そう感じるからこそ、自分を低く評価する人は、不必要に他人に献身するのである。

不必要にというのは、自分の心の必要を無視してということである。
素直に自分をぶつけあう付き合いが楽しい、ということが信じられないのである。

だから何かをしてあげない限り、他人は自分に用がないと感じてしまう。
他人にとって、ありのままの自分に意味がある、この感じた方ができないから、
人との付き合いにエネルギーを使ってしまう。

虚勢を張ってみたり、恐縮したり、いろいろ心のエネルギーを使って疲れてしまう。
彼が守るべきは、他人の自分に対する評価から自分を守るのではなく、
自分の自分に対する評価から自分を守ることなのである。