心の動揺は自分に何かを教えてくれる
ちょっとしたことでとたんに動揺してしまう人は多い。
ふとした拍子に、嫌なことを思い出して心が動揺してしまう。
何か不愉快な情報が入ったり、自尊心を傷つけられるようなことを
言われたり、何か不当に邪魔されたりすると、すぐに怒りや悔しさで
心が動揺する。
なんでこんなことで、こんなに動揺するのだ、と自分でも情けなくなるが
どうしようもない。
自分を深く傷つけた人の姿を見るだけで、心が動揺してしまう。
そして、その心の動揺はなかなか収まらなくて、その夜は悔しくて
眠れなくなってしまうこともある。
熟睡は多くの場合、その人の人格が優れていることを表わす。
夜中に、われながらこの程度のことで眠れなくなる自分が情けなくなるが
それでもすぐに心が動揺してしまう自分をどうすることもできない。
そして、次から次へとかつての悔しいことが思い出されてくる。
心の底に眠っていた忘れたはずの事件が、ある悔しい事柄をきっかけに
次から次へと思い出されてくる。
そういえばあいつもと自分を卑しめた人が思い出されてくる。
そういえばあいつにも舐められたと思い出されてくる。
そうすると眠れなくなる。
繊細で感じやすい人は、すぐに傷つき、またその傷を癒すこともなかなかできない。
そのように繊細な人が、どんなことにも動揺しない人間になるには、
月日がかかる。でも動揺しない人間になれる。
自己実現して生きていくうちに、心は鍛錬されてくる。
自分がちょっとしたことで激しく動揺したときには、これは自分に何を
教えているのかと問いかけることである。
自分がまだ十分に自己実現していない生き方をしているかもしれないと
考えることである。
心の動揺は、自分がどんな人間であるかを自分に教えてくれる。
心が動揺して初めてわかる自分がある。