大人になっても心理的には不安定なままで生活している

自分の子供を虐待する親は増えている。その中には真面目な親も多い。
ベストな親であらねばならないという規範意識が強い。

そうした親はおそらく一切の我が儘を禁じられて育ったのであろう。
少なくとも伸び伸びと育っていない。

子供の我が儘が、その親の抑圧された願望を刺激したのである。
刺激されて活性化しても、自分の親を恐れている以上それを意識することはできない。

それが意識のうえに上がることを防ごうとして心はパニックになった。
子供を虐待することは自己防衛である。

もちろん全て抑圧からくる欲求の増大だけが原因という訳ではない。
その他にも原因があるだろう。

例えばうつ病になるような人は縁の下の力持ち的な立場で家族環境の
中で成長してきた。実質的にはその家を支えながらも、家の中では低い地位にいる。

そのような在り方をその人が喜んでいるはずがない。
その家の中には必ず勝手な真似をして、しかも立場が保障されているような人がいる。

当然その人への憎しみを持つ。しかしうつ病者を生み出すような家庭では
攻撃性は禁じられている。具体的には兄弟喧嘩の様なものは禁じられる。

するとしわ寄せは、我慢している人にくる。家族の中には我慢する人と、我が儘な人とが出てくる。

心を病む人が生まれてくる家族はどこかでこのような構造を持っている。
我慢する人は、憎しみを心の底に抑圧しながらニコニコ生きている。

規範意識も強い。まず全体のことを考えて自分のことを後にする。
しかし喜んで自分のことを後にして全体のことを優先している訳ではない。

悔しさや怒りを心の底にため込みながら全体のことを優先しているのである。
そして我慢する人がいることをよいことに他方にはやりたい放題をする
利己主義者がいる。家族に限らずこれが心理的に病んだ集団の構造である。

そして小さい頃、家族の中で我慢することを強制された人は、大人になっても集団の中で同じような立場に追いやられる。
小さい頃に従順や犠牲が学習されているのである。自己蔑視が身についている。逆もそうである。

家族の中で我が儘な立場で成長した人は、大人になっても集団の中で利己主義者で通す。我が儘が通らないと怒りを表す。
利己主義者は社会の中で色々と人間関係のトラブルを起こすが、我が儘を抑圧しながら成長した人はトラブルを起こさない。

しかし大人になっても心理的には不安定なままで生活している。
そして心理的には不安定な人の目の前に、昔その人を苦しめたような我が儘な人が現れる。

イライラして苦しいのは当たり前である。そこで心理的パニックになる。
そうなれば目の前にいる子供を虐待しても不思議ではない。