屈辱の経験

自己蔑視の原因は、基本的にはありのままの自分が愛されなかったことである。
しかし、親が愛する能力がなかったばかりに愛されなかった場合もある。
それなのに、自分は愛されない人間だと思い込む。
こうして錯覚して、自分を嫌いな人もいる。

小さい頃の隠された屈辱の経験は色々とあるだろう。
貧乏で近所の人から馬鹿にされたということもあるだろう。
しかし、屈辱の体験は何も遠い人からばかりでない。近い人によっても与えられる。

自分に近い人を嘲笑することで心の葛藤を解決するタイプの人はたくさんいる。
そういうタイプの人を親にもつと、子供は自分を嫌いになる。

親から声高に嘲笑されたという体験をもつ人がいる。
親という自分にとって大切な人から声高に嘲笑されたら、その人は自分を憎む。

その結果、嘲笑されることのない理想の自分に憧れるのも当然だろう。
自分を憎むと同時に、偉くなって世間を見返してやるという復讐心に燃えるのも
また当然かもしれない。

このように現実の自分と理想の自分の乖離から現実の自分への憎しみは生じる。