母親が自分の要求を飲むか飲まないかが重要である
チョコレートが好きな子供がいる。
「チョコレートを買って」と母親に言うとする。
母親は買ってくれなかった。
心理的に健康な子供なら、チョコレートが食べられないという
不満が第一である。そして食べられない悔しさで泣く。
そこで母親はチョコレートを食べさせない理由を明確に説明できる。
例えば「食事前だから」「甘いものをとりすぎているから」。
それを通して子供に我慢することを教えることができる。
躾ができる。子供も感情にしこりを残さない。
しかし神経症的な子供の場合には、チョコレートを買ってくれないという
母親の態度が最大の不満の原因である。
買ってくれないということを、母親は自分を嫌いなのだと受け取る。
愛していないと受け取る。
したがってこの不満は、母親への敵意と結びついていく。
さらに愛しているという保証を得ようとまた焦る。
そこに複雑な心理的葛藤が始まる。
神経症的な子供の場合には、チョコレートを買ってくれという要求を
母親が飲むか飲まないかが最大の問題である。
チョコレートが食べられるか食べられないかは二の次である。