自分が自分でわからなくなっている

何もする気にならない。何をするのも億劫。
普段なら気にならないことが気になる。普段なら何でもないことが重く感じる。

普段なら知り合いに会うことが辛くはない。でも抑うつ状態では人に会うことが重苦しい。
その人には午後から会うのに朝から気が重い。
元気なときならそのことが喜びにさえなることが、抑うつ状態では重苦しく感じる。

別にその人から非難されるわけではないのに、会うことを考えると、嫌だなーと思えてくる。
嫌だなーと思えてくるといっても、別にその人が問題のある人というわけではない。
傲慢な人というわけではない。冷たい人というわけでもない。

また、その人に言いづらいことを言わなければならない、というわけではない。
考えてみると何か困ったことがあるわけではないのに、嫌だなーと思う。

「その人が嫌いなの?」と聞かれれば嫌いではない。
嫌いではないのに会いたくない。嫌いではないが、好きでもないかもしれない。

「嫌いなの? 好きなの?」と言われれば、答えられない。嫌いでもないが好きでもないらしい。
「じゃ、誰が好きなの?」と聞かれれば「さー」となってしまう。
もっと詳しく言えば感情鈍麻という表現のほうが当たっているかもしれない。

嫌いではないけど、嫌い。好きではないけれど、好き。自分でも自分が分からなくなっている。
そういう人は自分の体の中心から核になるものが抜けてしまったように感じている。
存在感喪失状態とでも言うのだろうか。自分が自分ではない。

自分がそこら辺に浮いている。自分をつかもうとしてもつかめない。
「死にたいの?」と聞かれれば、死にたくない。
「じゃー、元気にしなさいよ」と言われても元気にはなれない。