なぜ、やさしい気持ちになれないのか?
相手の気持ちに気がつくのは、こちらに心のゆとりがあるからである。
うつ病者にはその心のゆとりがない。
うつ病になるような人は怒りに満ちているから、心のゆとりがない。
うつ病者には周囲の人に対する猛烈な怒りがある。
うつ病者はそれを抑圧して生きている。
うつ病になるような人は、その怒りに気持ちが支配されている。
もちろん抑圧しているわけだから、その怒りを意識できているわけではない。
しかし意識してはいないけど、その抑圧された怒りに、気持ちは支配されている。
その無意識の領域にある猛烈な怒りを抱えながら、社会的に立派な人として
行動している。社会的には立派な人間である。
その日々の行動と心の中にあるものとは正反対のものである。
不幸な人々が、幸せとはこうあるべきものという考えで、
幸せ家族を皆で演じているようなものである。
でも心の底でむなしさを感じている。
心の葛藤の激しさに疲れ果て、生きるエネルギーがなくなってしまったのが、うつ病である。
生きていること自体がむなしい、意味がない。
訳も分からず辛くなる。とにかくもう生きるエネルギーがない。
自分の心の中にある、もの凄い怒りと憎しみを意識できれば、
また生きるエネルギーも湧いてくるかもしれない。
しかし多くの場合、怒りは意識されない。
そして本当は周囲の人を殺したいのに、死にたいとなる。
多くの場合、怒りは意識されないまま、生きるエネルギーを失っていく。