恩を着せ心の傷を癒している
人をいつも世話しながらも人脈ができないビジネスパーソンがいる。
努力が報われないのである。そこでいつも人を恨んでいる。
しかし、残念ながら彼は間違っている。
彼の世話の仕方の最大の間違いは、恩着せがましさにある。
恩着せがましい世話をすると、世話をしたうえに反感を買ってしまう。
そんな世話なら、かえって世話などしないほうがいい。
つまり、時間とエネルギーとお金を使って、結果として相手から反感を買うだけである。
ゆとりのない人は、こういうバカらしいことをいつもしている。
ある四十代後半のビジネスパーソンである。
いろいろ後輩の就職の世話をする。そして、自分が就職の世話をした人に向かって
俺の力でお前は就職できたという顔をする。
相手は世話になったから、一応「ありがとうございました」と頭を下げる。
しかし、心の底では感謝の念は薄らぐ。長期的にはその人は離れていく。
彼が分かっていないのは、彼は、その人の世話をしているつもりになっているが、
実は自分の心の傷を癒しているだけなのである。
実は自分の無力感から人を世話している。世話した人からの感謝を求めているのである。
人から感謝されることで自分の心の傷を癒そうとしている。
自分の心の底を見ない人である。
彼は自分の力を誇示したい。だから努力が報われない。
もう1人のビジネスパーソンである。彼は燃え尽きるどころか、いつもゆとりがある。
女の子を連れてよく飲み歩いている。
彼の就職の世話の仕方は先のビジネスパーソンとは違う。
就職の世話をしたときに、「君をあの会社に就職させたことで誇りに思っている。
君のような優秀な人間をあの会社に就職させたことで、僕のほうが得意だよ」と
いうようなことを言う。相手はさらに頭が下がる。
「あの会社も、君のような人がいれば大変プラスになるだろう。
まー、元気にやれよ。」
この言葉を言って、彼はあとは自分の好きなことをしている。
そして、決して誰でも彼でも世話をしない。世話する相手をよく見ている。
相手を見るということ以外はあまり何もしていない。彼は結構遊んでいるが、人生は順風満帆である。