人からさまざまな見返りを求めている

人間の不満は期待を裏切られた時に生じてくる。
神経症的愛情欲求が裏切られた時に神経症者は人を恨む。
どんないい生活をしていても人を恨む。

神経症者は相手に何かをしてあげる。
自己消滅型の神経症者はいつでも相手に何かをしてあげようとしている。

してあげること自体を嫌がっているのではない。
してあげたことの見返りを求めているのである。

してあげることが嬉しいわけではない。してあげたくてしてあげるのではない。
してあげることで相手から感謝や尊敬や賞賛やさまざまな見返りを求めているのである。

その求めたものが手に入らない時に不満になる。そして相手を恨む。
誰だって、一万円を出して、一万円の品物を買おうとした時に、
お店の人がお金を取ってしまった後で、一万円の品物を渡さなかったらお店に怒るであろう。

ましてそのお店に抗議できないでいたら、余計お店の人を恨むであろう。
誰だって詐欺師にだまされた時にはその詐欺師を恨む。

それと同じことが神経症者の心では日常的に起きているのである。
だから神経症者はいつも人を恨んでいる。

神経症者の復讐性はこうした神経症的愛情要求が裏切られた結果起きる心理である。
恨みの強さは何といっても神経症的愛情要求の強さに比例する。