相手に恩を着せることでしか関係を維持できない
神経症的自尊心の強い人は、楽しい時に「わあ、楽しい」と体じゅうで素直に表現しない。
「わあ、楽しい」と言ってしまったら、それが自分の弱みにならないかと用心する。
相手のおかげで自分は幸せであるということを、神経症的自尊心の強い人は好まない。
むしろ、いつも自分の不快な感情はあなたの責任であると
暗黙のうちに相手に心理的負担を負わせようとする。
それによって関係が壊れないようにする。
従って、いつも自分のそのままの感情を表現することに身構える。だから楽しくない。
人は心理的に病んでいない限り、最後には一緒にいて楽しい人の所に行く。
素直さは最後には肉体的美しさに勝つ。
美人とかイケメンとかいうことは、他人よりも優越することで
自分の悩みを解決しようとしている人に対してのみ大変な意味をもつ。
そうでない人にとっては、たいして価値のあるものではない。
それはいいですねという程度のものである。
神経症的自尊心の強い人は、人から恩に着せられることを極度に恐れる。
相手が恩に着せるつもりなど全くない時でも、それを恐れる。
常に相手との関係で優位に立とうとする。
相手が親でも、子供でも、恋人でも、友人でも優位に立とうとする。
そこであなたのおかげでこんないいことがありました、ということを認めたくないのである。
だから、素直にありがとうと言えない。
神経症的自尊心の強い夫は、
妻に「お前などは、誰も嫁にもらってくれないからもらってやった」というような言い方をする。
自分に自信がないから、相手に恩を着せることでしか相手との関係を維持できないのである。