受け身の姿勢が根深くある
上司に服従し、依存するというようなことで心理的安定を得てきたビジネスマンが、
ある仕事を任され、自分がその責任者になった。
こんな時に、ストレスから挫折することがある。
挫折、つまり心理的に不安定になったり、仕事への意欲を失い、何をするにも面倒になる。
ついには会社に行くのも嫌になる。
今まで持っていた出世に対する競争心もなくなり、自分からは何もしなくなる。
それまでの活力が嘘のように消えて、無気力になっていく。
実は、その時までの活力は、その人がそれなりに心理的安定を獲得していたからなのである。
もちろん、それまでの安定とは本当の心理的安定ではなく、表面的な安定である。
しかし、意識の上では、何とか不安を避けていられた。
ある人、或いはある権威から指導され、保護されている限りにおいて、その人は表面的に
心理的安定を一応は得る。
もちろん、自分自身の人生を生きてはいないが、自分は保護されているという感じ、
そのことで安心し、ある人や権威から、承認や賞賛を得ることができている限り、活力を得る。
そうした人は、活力はあるように見えるが、それまでの活力の決定的特徴は、
受け身ということである。受け身の姿勢が心の底に根深くある。
その受け身の願望を見事に満たしていた何かがある。
親であり、上司であり、会社であり、宗教であり、思想集団である。