幼児のような欲求に気づくことである

虚栄心の強い人は、小さな子供のように、甘えの欲求を直接的に満たそうとはしない。
どうしても人がうらやましがることをしたり、うらやましがるものを持ったりして、
間接的に満たそうとする。

虚栄心の強い人は、まず自分が心の底で必要としていることに気づくことである。
それは今欲しいと思っているものではない。

虚栄心は薬物のようなものであるから、今欲しいものを次々に手に入れたところで、
なおるものではない。

何よりも大切なのは、そんなものを欲しいと感じなくなることである。
心の底にある甘えの欲求に気づき、自分の情緒はまだ幼児のようなものであると認めることである。
自分は、自己中心的で、わがままなどうしようもない人間であると、自分で認めることである。

そして、自分を突き動かしているのは、この幼児のような欲求だと気づくことである。
それに気づき、それを求めれば、だんだんと自分の心の病をなおすのに必要なものがわかってくる。

また、目的とするすべきことは、一人でも生きることが楽しめる人間になることである。
1人で窓の外の風景を見ていても楽しい、一人で音楽を聴いていても楽しい、
1人でもの思いにふけっていても楽しい、そのような人間になることを目的とすることである。

もし、そのように一人でも生きることが楽しめるようになれば、気難しい人間ではなくなるはずである。
自分の周囲にいる人間が、自分のしたことにどう反応してもらいたいかという要求が
強くなくなるからである。