正常な目標と間違った目標

人間関係がうまくいかないのは、お互いに相手と自分の人生の目標が
違うのに気がつかないからである。

例えば奥さんは正常な目標を持っている。
人生の責任を果たし、他人と協力し、自分が人にしてあげられることをし、
自分が出来ることをして生きて行こうとする。

そしてその様な生き方が一番生きる喜びを得るもので、最も安全な生き方だと知っている。
しかし夫は財産と名誉と力を求め、その様なもので自分の人生の安全を
獲得しようとしている。夫は間違った目標を持っている。

夫にとっての人生の目標は、他人に自分の重要性を強く印象づけることである。
従って人のために何かをするときには必ず見返りを求める。

何の見返りもなく人のために自分が出来ることをすることは愚かだと思っている。

奥さんにしてみれば、弱った老人を見舞いに行ったりする行動は、
自然な行動であるが、夫から見ると時間とエネルギーの無駄でしかない。
そんなことをしているくらいならもっと他にすることがあるだろうということになる。

夫にしてみるともっとこれから力を持つ人の病気見舞いに行く方が自分を守る行動である。

夫にとって最も安心をもたらす行動は奥さんにとって淋しい人生をもたらす行動でしかない。
それは生活のための仕方ない行動かもしれないが、それ以上のものではない。

何が自分の人生航路の安全を保証するかという二人の考え方の違いである。
片方が何となくいつも人に優位を保つことで安心しようとする。
他方は自分の心理的安全のために他人より優位に立つ必要がない。