自分が深く傷ついている自覚は必要である
他人に悪く思われないように、他人に低く評価されないように、自分が傷つかないように
ただそんなことばかりに気を使って生きている人がいる。
自分に自信がないから、そんなことばかりに気を使ってしまうのであろう。
そして、「どうやったら自分が傷つかないか」それが人生のテーマになってしまう。
「どう生きたらよいか」が「どうしたら傷つかないか」ということと同じになる。
小さい頃、自分にとって重要な人間に認めてもらうという心の必要性のために、
別の必要性は犠牲にされていた。
小さい頃、自分にとって重要な人間にかわいがってもらうために、自ら甘えの
欲求の満足を断念した。そうした心理的挫折を体験したことで、その人の心の中は
深く傷ついている。
つまり、自分はありのままでは愛されるに値しない人間だという自分のイメージが、
心の中にできあがってしまったのである。
自分は愛されないけれど、あの人たちは愛される。
自分は価値がないけれど、あの人たちは価値がある。
そんな自分と他者とのイメージが心の中に定着していた。
しかし、自分には価値がない、自分は愛されないという心の中のイメージは、
否定しようとして否定できるものではない。
意志の力で無意識に追いやろうとしたり、理性で、そんな感じ方はおかしいと
主張してみたりしても、それは消えない。
うつ病的傾向の強い人は、心の奥にある、自分は価値がないという感じ方と
必死に闘っている。