人間は理屈通りに動くわけではない

ビジネスマンが仕事をするということは、芸術家が自分の仕事に
没入するというのとは違う。

企業の人間が企業の中で仕事をするということは、発明家が
実験に没頭するというのとは違う。

その仕事に没頭しながらも、心理的に適切な距離をいつも
保っていなければならない。

上司やその組織を批判するのはやさしいことなのである。
だからこそ多くのビジネスマンは自分の会社の批判をする。

難しいのはそのなかで理屈を通すことなのである。
理屈の通らない組織の中で理屈を通す努力を冷静に続けられる
ビジネスマンが真に有能なのである。

そのようなビジネスマンが仕事のできるビジネスマンなのである。
その組織に属する人がみんな心理的に成長しているなら、
仕事などはそれほど難しいわけではない。

人の足を引っ張る人がいるからこそ仕事をすることは難しいのである。
妬む人がいるからこそ理屈通りに事が運ばないのである。

現実に仕事をするということは、そのような中で仕事をするということなのである。

色々な感情を持つ人間の渦巻く中で仕事をしているのである。
理屈が通らないといってヒステリックに怒り出すような人は、
ビジネスマンとして仕事ができない。

人間は理屈通りに動くわけではないのである。
人間がロボットのように動くのを当たり前のように考えて
仕事の能力を評価しようとしている人がいる。

そしてそのような一面的な見方から自分の仕事の能力を評価して
得意になり、自分を用いない上司を、人を見る眼がないなどと
いっているビジネスマンもいる。

仕事ができる人かどうかということはそんな単純な見方では分からない。