慣れ親しんだ者に対する蔑視

外面が良くて内面が悪い人は、外では恐怖から甘えていないけれど家では甘えている。
だから、外では傷ついていないが、家ではすぐに傷つく。
そこで、家では怒り、恨み、騒ぐ。

外ではそもそも甘えていないから、そんなに傷つかない。
そこで、恨みも、騒ぎもしない。

しかし、外面のよさは、本質的に見知らぬものへの恐怖心や不安である。
人見知りと同じである。

その不安や恐怖から、自分を犠牲にして、成熟した人を演じる。
その結果、敵意が生じるが、それは抑圧される。

その抑圧された敵意は、慣れ親しんでいる家の者に向けられる。
そして、それすらもできない人は、家では不機嫌になる。

新しい友人に対しては、恐怖や不安から迎合する。
知り合ったばかりの人間を大切にし、逆に、今までの友人を粗末にする。

見知らぬ者に対する恐怖や不安と敵意、逆に、慣れ親しんだ者に対する蔑視。
この二つが相互に関連している。

よく、夫が結婚した途端に人が変わったという話を聞く。
それは、その男性が結婚した途端に相手の女性に甘えを出し始めたのである。

男性がその女性に恐怖や不安がなくなったからである。
だから、今まで傷つかなかった相手の一言一言に傷つくようになった。

恐怖や不安から、甘えていないときには傷つかなかったのに、
甘えだした途端、相手の態度に傷つくようになった。

そこで、今までは何でもなかった相手の態度が
急に不愉快に感じるようになり、わめき散らすようになったのである。

相手の女性にしてみれば、今までとまったく違った
夫の反応にとまどうのは当たり前であろう。

女性から見ると、夫は結婚前は優しかった。しかし、結婚した途端に優しくなくなった。
女性から女性へと渡り歩く浮気者も同じである。初めは女性に優しい。相手を気遣う。

しかし、すぐに他の女性に気が移っていく。それは、初めは女性に甘えていないのである。

しかし、いったん自分の恋人になると甘えが出る。
そこで、自分のすること全てに賞賛を求め出す。

しかし、期待した通りの反応は返ってこない。そこで傷つく。
傷つき続けると、当然、相手が嫌いになる。

そこで、また次の女性を求める。その繰り返しである。