悔やんでばかりで時間を無駄に過ごす

やってみれば何でもないのだけれど、鬱病的な人はなかなか
新しいことを始められない。彼らは日常的に慣れたことしかできない。

同じことを繰り返すことはできるが、新しいことを始める時の抵抗は、
普通の人には考えられないくらい強い。

だからチャンスが来ても、それにのるということがなかなかできない。
もし失敗したらどうしようと考えると、怖くて新しいことに
挑戦できないのである。

積極的な人にとっては何でもないことが、鬱病的な人にとっては、
ものすごい心理的エネルギーを使わないとできない。

何をするにも心の葛藤を避けることができない。
やろうかやめようかと悩む。その悩むことで疲れてしまう。

さんざん迷って悩んだ末に、疲れ果てて結局はしない。
なぜ迷って悩むかと言えば、あれも欲しい、これも欲しいと欲張るからである。

両方欲しいから迷って悩む。自分の欲が自分を滅ぼす。
そしてそのあとで、あの時にあれをしていればと後悔をする。

あの時にあれをしなかったということを、さんざん悔やむ。
悔やんでばかりで時間を無駄に過ごす。

悔やんでばかりで時間を無駄に過ごすばかりでなく、
その過ごしている時間がまた辛い時間なのである。

あー、あの時と悔やむから、辛い。無駄なだけではなく、辛い時間になる。
チャンスをつかんでいれば自分は成功したのに、と思うからである。

鬱病的な人ばかりでなく、神経症的な人も、自己蔑視の激しい人も
成功を激しく望む。富や名誉を強迫的に求める。

普通の人は失敗の経験から学ぶが、神経症的な人や執着性格的な人は
失敗の経験から何も学ばない。

あまりに後悔の念が激しいので、何かを学ぶどころではないのである。
ただひたすら、やろうとしながらやらなかったことを後悔する。

しかし、悔やんでいるその過去を捨てなければ先に進めない。
過去を捨てる決心をした時が、変わりだす時である。

「でも」と言うと、後戻りを始める。とにかく捨てる努力をする。
運のいい人は、捨てている。そこで運を切りかえている。