親に傷つけられた心の傷
人は幼い頃に心が傷つき、その心の傷を癒そうとする。
問題は、その癒し方で生き方を間違えることである。
そして、心の傷をどんどんと深刻化させていく。
人生の道を間違えるのは、過去の傷の癒し方である。
ここで非生産的な生き方に入っていく。
人生を間違えなかった人は、過去の傷の癒し方を間違えなかった人である。
そして過去の最大の心の傷は、重要な他者への同一化の失敗である。
重要な他者は、多くの場合、養育者である。
親への同一化に失敗することで、基本的不安感が生じる。
親に同一化して安心感が生まれ、その結果、自我の確立が可能になってくる。
同一化とは、説明が難しいが、極めて単純におおざっぱにいえば
「お手本にする」ということである。
お手本がないと安心感のないまま成長する。
自分が親が好きで、親が自分を愛していることを感じ取り、
そうして親への同一化に成功し、心理的に健全な成長ができる。
自分が望むほど、自分が期待するほど自分は愛してもらえなかった。
自分にとって重要な他者は、自分が望むように自分を扱ってくれなかった。
その心の傷が、その人の一生に深甚な影響を与える。
しかし多くの人は、その心の傷に気がつかない。
気がついても、今いる周囲の人に原因を求め、責めることで終る。
だからなかなか心の傷が癒されないのである。
今いる周囲の人は、その人の心の傷を刺激したのである。
ただ刺激されたことを、傷つけられたと感じる人は多い。
今いる周囲の人と出会う前から心は傷ついていたのである。