自分の弱点を受け入れられるか

不幸を受け入れることができない人には、憎しみがあると同時に深刻な劣等感がある。
深刻な劣等感があるから、どうしても理想とか完全を求める。

自分にとって適切な目的を持てない。つまり不幸な人である。
不幸な人は、ささいな不幸を受け入れられない。多くの人は、大きな不幸で不幸になるわけではない。

人は自分の弱点を受け入れれば、自分の長所を発揮できる。自分の潜在的可能性を実現できる。
そうなれば、厳しい現実は生きがいに変わるかもしれない。

しかし、自分の弱点を受け入れられない人は、自分の長所を発揮できない。
自分の潜在的可能性を実現できない。これが漠然とした広範な憎しみを生む。

不幸を受け入れられない人は、自分の人生の幅をどんどんと狭めていってしまう。
単純な言い方をすれば、副作用を拒否して薬を飲まなければ、病気は治らないであろう。
副作用はよくないに決まっている。しかしそれが、不幸を受け入れるということである。

高齢の人が「若者には負けない」と頑張っている。その心意気はいいが、かえって体を壊す。
歳をとれば、体力は落ちる。それが不幸を受け入れるということである。
そうすれば、今の体力で生きることに集中できる。

体力の衰えを受け入れない人よりも、幸せで健康を維持できる。
不幸を受け入れるということは、また自分の弱点を受け入れることであり、
それは同時に他者の弱点を受け入れることである。

自分の弱点を受け入れ、相手の弱点を受け入れることができれば、
人間関係の不満は著しく減少する。

相手に不満になるときというのは、たいてい相手に、理想とか完全を要求している
ときである。要求している方が、心理的に病んでいる。