自分の長所を認められない
神経症的な親に育てられると、子供は非現実的に高い期待をかけられて
自信を失い、自分の長所も長所と感じられなくなってしまう。
相手がその長所を認めても、自分ではそれを長所と認められない。
大人になって付き合いはじめた相手にその長所をほめられても信用できない。
常に強く優れていることを求めてきたから、自分の中の強く優れていない
ものに価値を感じることができない。
相手が本気で自分の価値を称えても価値観が違うから、
ほめ言葉を信じられないのである。
自分をけなす言葉に傷つくが、そのほうが信用できる。
考えてみれば悲劇である。
自分が傷つく言葉しか信用できないのであるから。
自分に失望している人は、相手が自分に失望するということは
よく理解できる。
人は自己イメージに合った言葉を信用するという。
ただ、より大きな問題はここから先である。
相手が自分に対して失望して言った言葉や行動ではないものまで、
自分に対する失望と受け取るということである。
そして相手は自分を見捨てると思い込む。
お互いの付き合いの長い歴史を考えればそんなことは
考えられないのに、そのように誤解して受け取る。
大人になっても過去に縛られ、他人の言葉ではなく自分に対する失望で人は不幸になる。