起きてしまった不運に逆らってはいけない

過程を大切にする心理にとって、人生に失敗はない。
全ての失敗は、成功への過程である。
次に同じ失敗をしないための財産である。

ここで失敗をしたおかげで、もっと重要な時期に失敗しないで済んだと
解釈する。大切なのは失敗の中にある肯定的な面に注意を向けることである。
そして活動を続けることである。

すでに失敗してしまったのに、それに逆らっている人がいる。
なんで失敗したのだと怒り嘆いている。
失敗したという事実に逆らったがために失敗を物凄いことにしてしまうのである。

あるビジネスマンが重要な会合を前にして病気になってしまった。
重要な人から夕食に招かれていたのである。

普通のビジネスマンなら、何でこんな時に病気になるのだと嘆いて
悔しがるところである。しかしそのビジネスマンは病気の中で考えた。

この病気を何とか利用できないか?

そこで彼は食事の最初にだけ顔を出すことにした。「病気でも来た」
これが相手にアピールするのではないかと考えたのである。

そして彼は熱をおして出かけて行って、顔だけ出して帰った。
それが相手にどう感じられたかは分からない。

しかしとにかく大事なのは彼の「この病気を利用しよう」という姿勢である。
安逸を求める人間にとってはトラブルは呪いである。

しかし戦う人間にとっては、トラブルは心を目覚めさせ、分別を磨き
感情を刺激し、人格を成熟させるためのものである。